>>山菜おこわ
椎茸にしみこんだ醤油の味。醤油味と絡まり合って餅米ににじみ出る椎茸の味。お邪魔した時に玄関先で出迎えてくれたのがこの香り。途端にお腹の虫が騒ぎ出す。釜のふたを開けると、ふわ〜っとした湯気が立ち上り、つやつやと光る餅米が顔を見せた。ハレの日のめでたさが湯気で伝わる山菜おこわ。あとで餅米が膨らむのを自覚しつつも、次から次へと胃袋の中に収めてしまうおいしさ。
>> ひっけい
“ひきかえ”が“ひっかえ”になり“ひっけい”となったこの吸い物は、ハレの日の膳の汁物として二番目に出るやわらかい醤油味の吸い物。汁だけ飲んで具は持ち帰るのが本式だ。持ち帰った具は食卓に並べ、その日の祝いの席の報告を家族にしながらいただく。赤腹・厚揚げ・にんじん・長ネギ・舞茸…どれもこれも大胆な大きさで、汁物というよりは煮物といった感じ。これは、その昔は大きいのは“ごっつぉ”だったからだとか。
>> じゅうねんでいご
“でいご”とは“だいこん”のこと。自宅で作った大根は、寒冷地ならではの朝晩の冷え込みのお蔭でやわらかさがひと味違う。この大根に昆布と煮干しだけでとったダシに醤油を加えた汁で煮る。それだけでも十分美味なのに、さらにそこにじゅうねん味噌を絡めるのだ。口の中でじゅわっと広がる大根の甘味とじゅうねん味噌の風味。素朴ながらも新鮮な味。
>> わらびの味つけ
>> 白菜の白和え
こげ茶色のきくらげにからまるふんわりとした白い色。本来はくるみだけであえるのだが、中丸さんのアイディアで豆腐も混ぜてある。昔は山から取っていたきくらげのコリッという食感、くるみのほんのり甘い味、豆腐のほんわかした味。素材そのものの味が、それぞれを邪魔せずに優しく絡まり合っていて、「ほぅ」っと一息つきたくなる。
>> 菊の酢の物
食用の黄色い菊と“モッテノホカ”の赤紫色が美しい酢の物。この料理の味の決め手は何と言っても栗城増子さんが作っている自家製のチソ酢。チソと酢と砂糖だけで作ったというこの酢は、見た目はカンパリのような明るいルビー色で、飲むと一瞬カクテルかと思うような甘味と酸味が絶妙な代物。どうりで上品な味の酢の物だと思った。