7月の料理
 
夏野菜が毎日食卓に上るようになった。
奥会津のほとんどの家庭では自家用の畑作をしていて、
ナス、トマト、キュウリをはじめとして、畑は様々な野菜で溢れかえる。
とりたての新鮮な香りは、それだけでごちそうだ。
ちそっ葉巻き


>>ちそっ葉巻き

 ジャガイモをすりおろして味噌と砂糖を混ぜ、つなぎにほんの少々の小麦粉を加える。
 それをシソの葉で巻いて揚げただけのお惣菜だが、これさえあれば食が進むというお年寄りが多い。
 食欲が衰えるこの時期のお年寄りにとって、シソの爽やかな香りと、長年なじんだ味噌の香りは、なによりの活力剤である。
 ジャガイモの澱粉のせいかモチモチとした食感が好まれて、味噌を少なめにしてお茶請けにも喜ばれている。

 

粉ふき芋


>> 粉ふき芋

 
 「北あかり」という品種のジャガイモで、少し黄味がかってホコホコしている。
 あっという間に煮とけてしまう粉質の芋は、口どけのいい粉ふき芋にふんだんに使われる。
 驚くのは数種類の異なる品種のジャガイモを作付けして、料理によって使い分けていることだ。
 シンプルな料理なのにお代わりをするほどの美味。
 新ジャガの香りとはこういうものだったのか…。

 
「雪が解けると、作物植えるのが楽しみでねぇ。ジャガイモは五種類くらい植えるよ。
わせ白、男爵、北あかり、とよ白、もちいも。
わせしろが一番早く採れる。もちいもは一番遅いけど、来年の春まで置いてもポコポコしてちっとも味が変わんない。
味も性質もみんな違うから、料理によって使い分けんの。」

  山盛りの粉ふき芋を取り分けながら、こともなげに微笑む谷ヶ城さんだが、収穫や保存はかなりの労働である。おいしい料理には、種まきから手を惜しまない努力が隠されているようだ

 
夏野菜の三五八漬け


>> 夏野菜の三五八漬け

 キュウリ、カブ、ニンジン、ナス。朝採れ野菜を浅漬けした。
 「三五八」という漬け床は、寒のうちに仕込んで五月頃から使い始める。
 塩が三、もち米が五、麹が八の割合。
 もち米をふかして塩と麹をまぶし、そのまま寝かせて時を待つ。
 ぬか床と違って臭みがなく、かすかな甘味と深い味わいが身上。
 夏の食卓には必ず登場する漬物だ。
 
カリカリ甘梅


>> カリカリ甘梅

 叩いて塩漬けした梅を、砂糖とシソに漬けたもの。
 お茶請けや食後の口直しに、この地域で一般的に作られている。
 甘いのが苦手という人のためにはカリカリ塩梅が用意される。
 いずれも、爽やかな酸味とカリッとした食感が好まれている。
 もちろん梅干もこの時期大量に作られるので、土用にはどこの集落でも塩漬けした梅を干す光景が見られる。
 このときの梅を塩抜きして、砂糖とシソに漬けこんだ「梅菓子」も上品なデザートとして供されている。
 
マリネ


>> マリネ

 お正月から保存して残っていた新巻鮭を、さらに保存食用に漬けこんでいる。
 新玉葱のほどよい甘さが揚げた鮭を包み込んでいる。
 野良での仕事が忙しい時や不意のお客様にも困らないように、1週間ほどは日保ちするマリネを欠かさない。
 新玉葱がとれるようになると、必ず食卓に上がるメニューである。
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