6月の料理
 
角巻き


>>角巻き

 田植えが終わった祝いのサナブリに、欠かせないのがこの角巻きだ。田の神さまや神棚に鎮座する神様たちと共食する際に、まずは捧げるもの。
 束ねられ、扇手に開いた形も美しい。
 おばぁちゃんたちに教えられながら、初めて作った形は少々ぎこちないが、笹をていねいに折り、イワスゲで苦心して巻き上げた拙い手跡がほほえましい。
 殺菌効果のある笹は、この時期さまざまな準主食を包む。
 餅、団子、もち米ご飯。
 角巻きは、上新粉の団子を平たくのばしたものを2枚の笹で包み、葉先を角のように折ることからそう呼ばれているようだ。
 巻き上げるイワスゲは、奥山に行かないと手に入らない。それでも例年、当たり前に用いられている。
 笹の香りが移った真っ白い団子に、黄粉をつけて食す。
 固くなったら、笹のまま炭火で焼くと香りはさらに香ばしくなって、笹だけがはらりと焼けて落ちる。これもまた、絶品である。

 

タケノコご飯


>> タケノコご飯

 奥会津の竹林に筍が顔を出すのは5月から6月にかけて。
 旬のご飯として、タケノコごはんは日常的に食される。
 油揚げ、ニンジン、シイタケ、ゴボウと共に炊き込む。
 とりたてをその場で火に入れる焼き筍なども、野趣あふれるこの時期の味だ。


>> ワラビ汁

 今年のわらびを塩漬けにしたものを使って、身欠きニシンを出汁にした味噌汁。
 生のワラビは子どもたちには食べにくかろうと、塩漬けにして用意したという。
 アクを抜いた生ワラビは、とろりとしたぬめりが身上。しかし、そのぬめりと強い味が苦手な子どもも多い。美味しくたべさせようと心を砕くばぁちゃんたちの、工夫の技だ。
 ぬめりを利用したワラビのタタキは、細かく叩いてわさび醤油かポン酢で食すと、晩酌のツマミにもってこいの一品となる。
 ワラビは、山菜の中でも採取時期が長い。
 雨上がりの野山には、勢い良く首をもたげたワラビが一斉に出そろっているはずだ。
 
青菜のじゅうねん和え


>> 青菜のじゅうねん和え

 畑の作物がようやく青々と茂り始めた。
 どこの畑にも小松菜がある。
 畑で採れる緑の野菜の最初の登場者である。待ち望んだいのちの色を、「青菜」と総称する。
 ゆがいてじゅうねん味噌で和えただけのシンプルな料理は、爽やかにコックリとして食卓の重要な彩りとなる。
 
ふきと大根の炒め物


>> ふきと大根の炒め物

 ふきの大きく丸い葉は、すぐに目に付く。
 タンサン入れて湯がくと青みが増してアクも薄れ、皮をむくにも手もあまり黒くならない。
 1,2時間水に漬けてさらにアクを抜き、戻した干し大根と彩りのニンジと共に炒めて味をなじませ、白魚を混ぜ込む。
 「山と海と畑のものが、みーんな入ってんだぞ」
 子どもたちの声に囲まれた中で、ばぁちゃんは満足そうに顔をほころばせた。
 冬を越した大根は、春彼岸が過ぎると鮮度が落ちるので、薄く切って茹で、太陽に干して保存する。干した大根は日光を浴びて味を深め、栄養的にも優れた食品となる。
 
ミズナの漬け物


>> ミズナの漬け物

 春の山菜が姿を消し、畑の作物との中継ぎに出てくるのがミズナ。
 ミズナは毎年出る場所が決まっていて、根はとらないように丁寧に採取してくる。来年の恵みを守るためだ。
 細いうちは皮をむかずに、ショキショキした歯触りを楽しむ。
 葉は天ぷらに。少し太くなったものは、湯がいて皮をむく。
 カワハギの干物を軽く戻してミズナと共だし汁に漬け、1時間ほど重石をするとしんなりとしておいしい。
 ほかにもミズナ雑炊、卵とじ、炊き合わせなど、くせのない味と食感は、様々な料理に重宝され、塩漬けにして保存もする。
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